2016年6月7日
いま午後1時台北の高級ホテルのスウィートルームで
マッサージを受けている。
1時間全身コースプラス足裏0.5時間。
何が幸せかといって暇に任せて小説を読んだり、疲れたら
マッサージをしてもらう、今のところそれ以上の幸せは思い浮かばない。
10日ほどの予定で台湾を訪れ、妻の実家に顔を出して、お土産を置いてきた。
5歳の男の子には、車が空を飛ぶ新しいおもちゃがとても気に入って
もらってうれしかった。帰る間際までそこの家にたまたま来ていた同じ年恰好の
子供とキャーキャー言いながら遊んでいた。
その子も気に入って2日計りそのおもちゃを貸してもらえないかと申し入れたが
5歳の子供はそれが悲しくて母親の胸で泣いていた。
実はこのおもちゃはきっと喜んでもらえると確信していたので
2個買うことを考えていた。
でも同じ物を2個よりも違うものと思い探しているうちに
時間が無くなって買えなかった。
今思えば考えずに2つ買えばよかった。と反省している。
あんなに喜んでくれるなら、日本に帰ってから1つ買ってEMSで送ってやろうと
思いながらその家を後にした。
次の日高雄で取引先の会社のイベントに参加するために
新幹線で到着ご300人の参加者の中に入ってセミナー。
日本の健康食品の会社が開発した酵素のサプリメントの紹介で
メーカーから来た技術者の日本語を妻が通訳。
実はバスの中でこの技術者と同じ席だったので
約2時間この話を聞いていたのでとてもよく理解できた。
酵素というのは、腸の働きをよくする効能があって、130種類もの野菜や
果物から抽出した微量栄養素を小さな容器に閉じ込めてあり、
1日に2個くらい飲むと非常に快適な便が出て健康になるというものである。
実はこの20年ほど腸に関する関心が高く、運動や乳酸菌マッサージなど
何かいいものがないかと探していただけに今回の情報は価値のある物であった。
この技術者はよくあるサラリーマンタイプでまじめ、でもとても誠実で信頼できることが
2時間のコミュニケーションでよくわかった。
人間少し話してみるとその話し方や表情でどんな人間かがわかるものである。
とても感じがよくまた付き合える人のうちの一人であろう。
次の日は、この人たちと別れてピントンという場所にある古い友達の家にいくことになっていた。
この友達は観賞魚の育成販売でしかも新種の熱帯魚をつい最近開発した。
この魚を日本市場で展示会を開き多くの人にも認知してもらおうと日本で
それなりの人を探していた。
この男はその方面では日本では名の知れた会社の社長である。
以前私たちの友達はこの人の展示会を見て感動し、この人と何とか知り合えないかと、妻に伝えていた。
ある日偶然にも妻がその人と展示会場で出会い、友達が今度台湾に来てほしいと要望を伝えたところ
この日に合わせてくることになった。
彼はイタリアから妻に連絡を入れ、現地の通信事情がよくないので
飛行機の切符を取ってくれないかと伝えてきた。
こちらも日本を出発するので忙しい中、トライしたのだが、第一クレジットカードは
本人のものでないとできないし時間がないので断った。
やむなく彼はイタリアから行きの切符を購入した。
彼の要望で帰りの切符は、親切にも台湾の私たちの友達が購入した。
そのうえ、彼本人だけと思っていたら、女性の同伴者がいた。
しかも違う苗字。
ちょっとー。
夜遅く高雄につくのを見計らって友達と迎えに行った。
案の定、連れは、彼女だったのであるが、なんの悪びれる様子もなく
Mさんですとみんなに紹介した。
ビジネスのために来てもらったのに彼女同伴とは、ちょっと感じが悪いかな。
それでも、人のいい友達は大いに歓迎して、食事を出したり、次の日は九分という有名な
場所に案内して一泊2日の観光をさせてくれた。
道中私も一人の日本人として大いに付き合い、話したがどうしても誠意がつながらなくて
つらい時間を過ごすことになった。
こちらからの話には何とか受け答えるのであるが、決して彼から話しかけててくることはなかった。
私もピアノやバイオリンを練習していることを話しても、ほとんど関心を示さなかった。
それがどうしたとでも言いたげな表情で。
聞くところによると2か月で50万人の入場者があるというからざっと5億円の売り上げである。
最後の日、見送りに行った飛行場で、妻と友達には一応「ありがとうございました」と握手したが
私が「また会いましょう」と手を差し出したら、
無言のまま握り返した後、搭乗口に向かって歩き出した。
彼女は横の方にいて一切の挨拶はなかった。
そのころ日本で買った電子書籍の中に入れてきたドフトエフスキーの「白痴」という小説を読んでいた。
以前からこの本にはなんとなく興味があって、いつになったら読めるだろうかと思っていたらまず電子書籍リーダーに巡り合い、その良さを知り、今回の旅行につながったのである。
飛行機の中で約3時間読み、旅行の合間に読んで、今は第2巻まできた。
ドフトエフスキーの小説は人間の心の描写が実によく描かれている。
当時のロシアは貧困にあえぐ人々が多くその生活苦の中でもどれだけ
高潔に生きられるかを書いている。
ほとんどの人は1切れのパンのために、人を騙し、搾取し、裏切りながら生きている。
ただその中でも、立派に生きている人もいる。
今回の旅行の中でも多くの人と出会い別れまた出会うたびに
人の心のありようにとても感動したり、がっかりもしたりした。
次の日
前に日本へゴルフツアーで来た人たちが、私たち夫婦を
食事に招待してくれた。
燕の巣などは初めて食べる食物でたいそう値が張る食事だった。
8人ほど集まってくれて、わいわいがやがや台湾の人たちは本当に心が優しい。
日本にいるときこんな接待を過去に受けたことがあっただろうか。
一度だけ会ったというだけなのに。
むかしと違って、経済的に豊かになったとは言え、まだ自分たちの生活を守るのに
精一杯ではないのか。
小説の中に出てくるフレーズで重要なところにマーカーをつけることができるのであるが
その中に、「人間にとって一番大切なことは同情心だ」とドストエフスキーは言っている。
マッサージが終わって、彼が出ていくときに皿に盛ってあるブドウを欲しいと
言ったので分けてあげた。
ついでに昨日の宴会の残り物でまんじゅうがまだ残っていたのでそれもついでにあげた。
この部屋はスイートなので、果物は毎日変えに来る。
食べても食べなくても
新しいものに取り換える。
彼はそれを知っていてそのように言ったのである。
ブドウはとても高いと彼は言った。
彼らのような低所得者にはとてもありつけないのかもしれない。
後で、なぜそこにあった果物を全部あげなかったのかと悔やんだものだ。
